ドメーヌ・ラター - Domaine Lattard - [ ローヌ地方 オーティシャン ]

- 二番通り酒店 -

“ドメーヌ・ラター”

素朴な兄弟がフランスの静かな片田舎でつくる素直で優しいワイン

ローヌ地方の南、オーティシャンという村でワインをつくるドゥニとリュック兄弟。訪問すると大抵はドゥニが私たちを出迎えてくれます。ドゥニは物静かで言葉数の少ないシャイな人です。主にワインつくりはドゥニが担当し、リュックはブドウ栽培を手伝いつつ、ひまわりや麦などのシリアルや鳥やウサギ、牛などの家畜を育てる仕事を主にしています。ドメーヌの周りはブドウ畑よりも、酪農などの農家が多い静かな片田舎のあたたかい景色の中にあります。ブドウ畑がわっと広がるのはここから30〜40km離れたクローズ・エルミタージュの畑になるそうです。彼らの家族は元々この場所で鶏を育て野菜を栽培していました。1995年にドゥニとリュックが引き継いだ時にブドウの樹を初めて植え始めました。モンペリエやペルピニャンでワインつくりを学び、生産者を訪問し知識を深めていき、このオーティシャンという場所がフィロキセラ以前はブドウ畑が広がり、土壌や気候もブドウの栽培に向いているはずだと考え植樹を決断したそうです。1997年が初ミレジム。2002年からはビオロジック栽培に切り替え、2012年にはビオディナミになりました。現在7haある畑は、ガメイ1.5ha、シラー1.8ha、ルーサンヌ1.7ha、ヴィオニエ1.6ha。年間約15,000〜20,000本を生産しています。シラーは除硬、ガメイは全房でマセラシオン・カルボニックを採用し、ドゥニの思うそれぞれの品種の特性に合わせた醸造を行うそうです。ただ近年は温暖化が進みサンソーも植え始め、将来的にはガメイにサンソーを混ぜていくことも検討しています。補糖やコラージュを一切することなく、2008年から酸化防止剤を使用しないナチュラルな醸造をしています。シャイなドゥニは他の生産者との交流が少なく、酸化防止剤を使用しないワインつくりも自然と自分たちで選択したそうです。求めるのはピュアで素直なワイン。フランスの閑静な田舎でつくられるドゥニとリュックのワインはすべてヴァン・ド・フランスですが、素朴さがありストンと体に入ってくる優しさがあります。知れば知るほどに親しみを覚え、気づくと身近にいてほしい...そんなワインです。2022年からはエチケットが変わりました。畑から見えるRoche Colombe"ロッシュ・コロンブ"の山とブドウの樹の列、葉、ブドウの房を象徴したものにしたかったそうで、ご近所に住むグラフィストのセリーヌさんが描いてくれました。標高800mのロッシュ・コロンブの山は彼らの畑から5kmほど。山の上部は石灰質が多く、彼らの畑の土壌や気候に大きな恵みを与えています。彼らのつくるワインは現在フランスの多くのカーヴィストが欲しがるほどの人気です。ドゥニは「とてもバランスの良いワインができる高い可能性を持った場所なんだ。ワインをつくりを夢見る若い世代もこの場所に興味を持ち訪れる。でもここ数年の気候変動に伴う温暖化、2023年には自分も初めて経験する雹の被害もあった。若い人たちが実際に畑を持つにはリスクが高くなってきている。」と語ります。1995年からワインつくりを続けすでに円熟の域へと達しているドゥニとリュック。長いワインつくりの中で最も難しい難題を前にしています。でも会った時と変わらず静かに未来と見据え、淡々と日々畑と向き合う誠実な農家の姿は変わりません。訴えかけるものが多い、愛すべき誠実なワインです。

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